「乗り継ぐだけなのに、どうして入国審査を受けるの?」
「預けたスーツケース、乗り継ぎの空港で一度受け取るって本当?」
「乗り継ぎ2時間で間に合う? 何時間みておけばいい?」
「ターミナルが変わるらしいけど、歩いて行けるの?」
「入国審査の行列って、実際どれくらい並ぶの?」
アメリカの乗り継ぎには、ほかの国と決定的に違う点があります。最終目的地がどこであっても、最初にアメリカで飛行機を降りた空港で入国審査を受けることです。乗り換えるだけの人も例外ではありません。
そのうえ、預けた荷物も自分で一度受け取り、税関を通し、預け直します。保安検査もやり直しです。この3つをこなす時間が、乗り継ぎ時間から引かれていきます。
この記事では、その手順と、ロサンゼルス・サンフランシスコ・シカゴ・ニューヨーク・ホノルルでターミナル移動が実際どうなっているかを、航空会社と空港の公式案内をもとに整理します。2026年9月時点の内容です。
✅ この記事でわかること
- 🛂乗り継ぎでも入国審査を受ける理由と、その手順
国際線どうしの乗り継ぎでも、アメリカには「通過」がありません。 - 🧳預けた荷物を受け取って預け直す流れ
どこで受け取り、どこに預け直すのかを順番に説明します。 - ⏱️最低乗り継ぎ時間を、自分で計算しなくていい場合
計算が要るのはどういうときか、その線引きをはっきりさせます。 - 🗺️空港別のターミナル移動
到着と出発でターミナルが変わる空港があります。 - 📦荷物の預け直しが要らなくなった路線
2025年から始まった新しい仕組みと、その対象路線です。 - 🪪入国審査を早く通るために、日本から準備できること
日本人が使えるもの、使えないものを分けて整理します。
先にこれだけは
アメリカでは、乗り継ぐだけの人も必ず入国審査を受けます。制限エリアの中を通って次の便へ向かう、という国際線どうしの乗り継ぎは、アメリカにはありません。
1枚の予約で通しで買っていれば、乗り継ぎ時間は航空会社が保証しています。自分で「何時間必要か」を計算する必要はありません。
計算が要るのは、別々に買った航空券をつないだときだけです。このときは、前の便が遅れても後の便は待ってくれません。
アメリカの乗り継ぎが、ほかの国と違う3つのこと

まずここを押さえておくと、あとの話がすべてつながります。アメリカの乗り継ぎで時間を食うのは、この3つだからです。
① 乗り継ぐだけでも、入国審査を受けます
多くの国では、国際線から国際線へ乗り継ぐ人は、入国審査を受けずに制限エリアの中を移動できます。アメリカにはこの仕組みがありません。最終目的地が中南米でもヨーロッパでも、アメリカの空港で飛行機を降りた時点で入国審査を受けます。
ですから、乗り継ぎだけの人にもESTAかビザが必要です。「降りないから要らない」ということはありません。
② 預けた荷物を一度受け取って、預け直します
入国審査を通ったら、預けた荷物を自分で受け取り、税関を通ります。そのあと、乗り継ぎ用の荷物カウンター(Connecting Baggage/Baggage Recheck)に預け直します。
ANAのシカゴ・オヘアの空港案内にも、最終目的地まで荷物が預けられている場合でも受け取って預け直す必要がある、と書かれています。
税関を出た先に、乗り継ぎ用の荷物カウンターが用意されている空港もあります。位置は空港ごとに違うので、案内表示か係員の指示に従ってください。出発ロビーまで戻る必要がない場合もあります。
③ 保安検査をもう一度受けます
荷物を預け直したら、次の便のターミナルへ移動して、TSA(運輸保安庁)の保安検査をもう一度通ります。
ここで引っかかるのが液体です。機内でもらった水のペットボトルは、この時点で捨てることになります。飲みきるか、保安検査の手前で処分してください。
「荷物は最終目的地までスルーで運ばれます」という説明は、アメリカ行きには当てはまりません。ほかの国の乗り継ぎと同じ感覚でいると、荷物を受け取り忘れます。
ただし、この原則には2025年から例外ができました。記事の後半で説明します。
最低乗り継ぎ時間は、何時間みればいいのか
結論から言うと、多くの人は自分で計算する必要がありません。ここを勘違いしたまま不安になっている人がとても多いところです。
1枚の予約で買っていれば、時間は航空会社が保証しています
航空券には「最低乗り継ぎ時間(Minimum Connecting Time/MCT)」という基準があります。これは空港ごと、航空会社ごと、乗り継ぎの組み合わせごとにIATA(国際航空運送協会)が基準を取りまとめているもので、航空会社はこの時間を満たさない組み合わせを売りません。
つまり、同じ予約番号で乗り継ぎまで通しで買えているなら、その時間は航空会社が「足りる」と判断した時間です。乗り継げなかった場合も、次の便への振り替えは航空会社の側で手配されます。
「LAXは◯時間必要」という数字をネットで見かけますが、鵜呑みにしないでください。IATAの最低乗り継ぎ時間は有料の資料としてまとめられているもので、一般に公開されている数字ではありません。
ネット上に出ている「◯時間」は、たいていが誰かの体験談か、その人の見積もりです。自分の便に必要な時間は、その便を売っている航空会社がすでに判断しています。
別々に買った航空券は、自己責任になります
安い組み合わせを探して、日本発の国際線とアメリカ国内線を別々に買った場合は話が変わります。
前の便が遅れて次の便に乗れなくても、後の航空券は無効になり、買い直しです。荷物も通しで預けられません。
このときは、入国審査・荷物の受け取り・税関・預け直し・保安検査・ターミナル移動を、全部自分でこなす前提で時間を組みます。
入国審査の待ち時間は、CBPが空港別に公開しています
所要時間のうち、いちばん読みにくいのが入国審査の行列です。ここはアメリカ税関・国境取締局(CBP)が「Airport Wait Times」というページで空港ごとに公開しています。
出発前に自分の到着空港を見ておくと、乗り継ぎ時間の見当がつきます。平均だけを見ず、自分が着く時間帯で確認してください。同じ空港でも時間帯で大きく変わります。
| 航空券の買い方 | 乗り継ぎ時間の計算 | 乗り遅れたとき |
|---|---|---|
| 1枚の予約で通しで購入 | 航空会社が保証。自分で計算する必要はない | 航空会社が次の便へ振り替える |
| 別々に購入 | 自分で組む。手続きの全部を自分でこなす前提で | 自己責任。買い直しになる |
| 同じ航空会社だが予約が別 | 自分で組む | 自己責任 |
空港別|ターミナル移動の実際
ここからが、一般論の記事では触れられていない部分です。同じ「アメリカの乗り継ぎ」でも、空港によって歩く距離も乗り物も違います。到着ターミナルと出発ターミナルが変わる空港もあります。
ロサンゼルス(LAX)
日本からの直行便が着くのはトム・ブラッドレー国際線ターミナル(TBIT/ターミナルB)です。ANAの空港案内では、5階から3階へ下りて入国審査、1階で荷物の受け取りと税関、という流れになっています。
国内線に乗り継ぐ場合は、乗り継ぎカウンターで荷物を預け直し、シャトルバスか徒歩でターミナル6〜8へ移動します(約5〜10分)。徒歩の目安は、TBITからターミナル4まで約10分、ターミナル6まで約20分です。
2023年8月30日からは、ターミナル1〜8とTBITが保安検査の内側の通路でつながりました。空港公式はこの通路を約2マイル(約3.2km)と案内しています。ただしこれは保安検査を通ったあとの話で、国際線で着いた直後には使えません。
ターミナル直結の自動運転列車(SkyLink)は、2026年9月時点でまだ開業していません。空港運営側とロサンゼルス・メトロの公式ページは、どちらも「開業すれば〜になる」という書き方のままで、開業日は公表されていません。乗り継ぎ時間に市内へ出るなら、荷物の置き場所を先に決めておくと動きやすくなります。
サンフランシスコ(SFO)
ANAは国際線ターミナルG(到着は2階、出発は3階)です。
ユナイテッドの国内線へ乗り継ぐ場合は、2階で入国審査と税関を済ませ、乗り継ぎ用の荷物カウンターを使ってからターミナル3へ向かいます。
逆方向(国内線からANA)には、ターミナル3のF12ゲート付近とターミナルGのG1ゲート付近を結ぶ乗り継ぎ専用の通路があります。そのほかの航空会社からは、無料のエアトレインか徒歩でターミナルGへ移動します。
シカゴ・オヘア(ORD)
ここは注意が要ります。ANAはターミナル5に着いて、ターミナル1から出発します。到着と出発でターミナルが変わります。
入国審査・荷物の受け取り・税関のあと、ターミナル5の1階にアメリカン航空とユナイテッド向けの乗り継ぎ荷物カウンターがあります。
ターミナル間の移動は、無料のATS(エアポート・トランジット・システム)です。24時間動いていて、3〜5分間隔で走っています。ロサンゼルスやサンフランシスコに比べると、移動の工程が1つ多い空港です。
ニューヨーク(JFK)
2026年のJFKは、ターミナルの入れ替えの最中です。ANAはターミナル7、日本航空はターミナル8を使っています。
新しいターミナル6は2026年中に第1期(5〜6ゲート)の開業が予定されています(9月時点で開業日は未発表)。ターミナル7を使っている各社の移転は2026年後半から2027年にかけて段階的に進む予定です。
搭乗券に印字されたターミナル番号を、当日かならず確認してください。ターミナル間の移動はエアトレインJFKで、24時間、4〜12分間隔で走っています。
ホノルル(HNL)
ハワイの離島へ乗り継ぐ場合も、手順は同じです。入国審査 → 荷物の受け取り → 税関 → 乗り継ぐ航空会社でチェックイン、の順になります。
ハワイアン航空の乗り継ぎカウンターは出口2(Exit 2)の先にあります。ターミナル1と2の間は徒歩で移動でき、ターミナル3へはウィキウィキシャトルを使います。
| 空港 | 日本からの到着 | 国内線への移動 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| ロサンゼルス(LAX) | TBIT(ターミナルB) | シャトルバスか徒歩でターミナル6〜8(約5〜10分) | SkyLinkはまだ開業していない |
| サンフランシスコ(SFO) | 国際線ターミナルG(2階) | ターミナル3へ | 国内線からの逆方向には専用通路がある |
| シカゴ・オヘア(ORD) | ターミナル5 | 無料のATSでターミナル1へ | 到着と出発でターミナルが変わる |
| ニューヨーク(JFK) | ANAはターミナル7/日本航空はターミナル8 | エアトレインJFK(24時間・4〜12分間隔) | 2026年は移転の途中。搭乗券で当日確認 |
| ホノルル(HNL) | 国際線の到着エリア | 徒歩またはウィキウィキシャトル | ハワイアン航空の乗り継ぎカウンターは出口2の先 |
ターミナルと搭乗ゲートは当日変わることがあります。最終的な確認は空港の案内表示で行ってください。
荷物の預け直しが要らない路線が、出てきました
ここまで「預けた荷物は必ず受け取る」と書いてきましたが、2025年から例外ができました。
CBPは2025年4月9日、国際遠隔手荷物検査(International Remote Baggage Screening/IRBS)という仕組みを始めました。出発地の空港で撮影した預け荷物のX線画像を、飛行機がアメリカに着く前にCBPの職員が確認しておく方式です。
これが使える路線では、アメリカに着いたあと荷物を受け取らずに、そのまま乗り継げます。最初はアメリカン航空のシドニー発ロサンゼルス行きから始まり、その後広がりました。
| 出発地 | アメリカ側の到着空港 | 航空会社 |
|---|---|---|
| シドニー | ロサンゼルス | アメリカン航空 |
| シドニー | サンフランシスコ | ユナイテッド航空 |
| ソウル/仁川 | アトランタ・デトロイト・ミネアポリス | デルタ航空/大韓航空 |
| ソウル/仁川 | ロサンゼルス・シアトル | デルタ航空/大韓航空(2026年6月23日から) |
| ドーハ | ニューヨーク/JFK | カタール航空 |
2026年9月時点で確認できた路線です。
日本発の直行便は、この一覧に入っていません。ただし対象路線は短い間隔で増えています。出発前に、利用する航空会社の案内を確認してください。
仁川で乗り継ぐ行き方なら、この仕組みが使える路線があります。日本からソウル/仁川へ飛び、そこからアトランタ・デトロイト・ミネアポリス・ロサンゼルス・シアトル行きに乗る場合です。
仁川そのものの乗り継ぎ手順は、別の記事で詳しく説明しています。
対象路線でも、入国審査は受けます。省略されるのは荷物の受け取りと預け直しだけです。保安検査も受け直します。
また、CBPが個別に指定した荷物は、従来どおり受け取りに行く必要があります。「対象路線だから絶対に受け取らなくていい」とは考えないでください。
保安検査まで省略される路線もあります
TSAは「One Stop Security」という仕組みも始めています。こちらは、アメリカに着いたあとの保安検査の受け直しが不要になるものです。
2026年時点の対象は、ロンドン/ヒースロー発ダラス・フォートワース行き(アメリカン航空・ブリティッシュ・エアウェイズ)と、ロンドン/ヒースロー発アトランタ行き(デルタ航空・ヴァージン アトランティック航空)の2路線です。アジア発の路線はまだ対象に入っていません。
入国審査を早く通るために、日本から準備できること
ESTA(乗り継ぎだけでも必要です)
ビザなしでアメリカへ行く人は全員必要です。乗り継ぐだけの人も入国審査を受けるので、例外はありません。申請の手順と、つまずきやすい入力項目は別の記事にまとめています。
グローバルエントリー(日本国籍の人も申請できます)
CBPの専用レーンを使える制度で、日本国籍の人も対象です。CBPの公式案内では、手順はこうなっています。
STEP 1 CBPのサイトで申請する
Trusted Traveler Programs のサイトから申請し、手数料を払います。
STEP 2 PASSIDを受け取る
CBPから申請者番号(PASSID)が発行されます。
STEP 3 30日以内に戸籍謄本の写しを送る
東京出入国在留管理局へ送ります。日本側の審査があるのがこの制度の特徴です。
STEP 4 面接を受ける
仮承認が出たら、登録センターで面接を予約するか、到着時面接(Enrollment on Arrival)を使います。パスポートと、住所が確認できる写真付き身分証を持参します。
STEP 5 承認
メールとTTPの画面に通知が届きます。有効期間は5年です。
グローバルエントリーに入ると、TSAプリチェック(保安検査の優先レーン)も使えます。予約時に会員番号を入れておくと反映されます。
申請から承認まで、日本側とアメリカ側の両方の審査を通る必要があります。次の旅行に間に合わせる前提では考えないほうがいいです。
モバイル・パスポート・コントロール(MPC)は、日本のESTA渡航者は使えません
入国審査を早く通せるアプリとして紹介されることがありますが、CBPの公式案内で対象とされているのは、アメリカ国籍の人と、カナダ国籍の訪問者です。
日本のパスポートでESTA渡航する人は対象外です。日本語の記事で「日本人も使える」と書かれていることがあるので、空港で当てにしないでください。
乗り継ぎでよくある失敗
① 機内でもらった水を持ったまま保安検査に並ぶ
入国後はもう一度保安検査を通ります。液体はここで没収されます。
② 到着ターミナルと出発ターミナルが同じだと思い込む
シカゴ・オヘアはANAの場合、ターミナル5に着いてターミナル1から出ます。移動の時間が別に要ります。
③ 別々に買った航空券を、通しで買ったつもりでいる
予約番号が分かれていたら別々です。遅れても後の便は待ってくれません。
④ 入国審査の待ち時間を平均で考える
同じ空港でも、到着便が集中する時間帯とそうでない時間帯でまったく変わります。
⑤ 預け直しのカウンターを探さずに出発ロビーまで出てしまう
税関を出た先にカウンターがある空港もあります。案内表示をよく見てください。
よくある質問
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まとめ|アメリカの乗り継ぎは、3つの手続きで時間が決まる
アメリカの乗り継ぎで時間を食うのは、入国審査・荷物の受け取りと預け直し・保安検査のやり直しの3つです。ここさえ分かっていれば、あとは空港ごとのターミナル移動を足すだけです。
そして、必要な時間を自分で計算しなければならないのは、航空券を別々に買ったときだけです。1枚の予約で通しで買えているなら、その時間はすでに航空会社が判断しています。ネットで見かける「◯時間必要」という数字に振り回される必要はありません。
この記事のポイント
- アメリカには国際線どうしの「通過」がなく、乗り継ぐだけでも入国審査を受ける
- 預けた荷物は原則として一度受け取り、税関を通して預け直す
- 保安検査も受け直すので、機内でもらった水はその手前で処分する
- 1枚の予約で通しで買っていれば、乗り継ぎ時間は航空会社が保証している
- 別々に買った航空券は自己責任。CBPの空港別の待ち時間を時間帯で確認する
- ロサンゼルスはTBIT着。ターミナル1〜8とTBITは保安検査の内側でつながっているが、到着直後は使えない
- シカゴ・オヘアはANAの場合、ターミナル5に着いてターミナル1から出発する
- ニューヨークJFKは2026年が移転の途中。搭乗券のターミナル番号を当日確認する
- 荷物の預け直しが要らないIRBSの対象路線があるが、日本発の直行便はまだ入っていない
- モバイル・パスポート・コントロールは、日本のESTA渡航者は対象外
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