「ETIASっていつから必要になるの?」
「もう申請しておいたほうがいい?」
「料金はいくら?子どもや高齢者は無料?」
「どのサイトで申請するのが正しいの?」
「イギリスも同じ手続きでいい?」
「EESとは何が違うの?」
結論から書きます。ETIASはまだ始まっていません。そして開始日も発表されていません。いま私たちがやるべきことは何もありません。
EU公式サイトにあるのは「ETIASは現在運用されておらず、渡航認証の申請は一切受け付けていない」「開始の数か月前に具体的な開始日をお知らせする」という2文だけです。日本の外務省も「現時点でETIASの運用は開始されておらず、渡航に際して手続は不要」としています。
それにもかかわらず、検索すると「ETIASを申請する」というボタンのあるサイトがいくつも出てきます。これらはすべて非公式です。この記事では、開始時期の現状、料金20ユーロ、対象30か国、申請に必要なもの、移行期間と猶予期間、EESとの違い、イギリスのETAまで整理します。
✅ この記事でわかること
- 🚦ETIASの開始時期の現状
EU公式に開始年の記載はない。「2026年後半」という表記は削除済み - 💶料金20ユーロと支払い免除の条件
18歳未満と70歳以上は「支払い」が免除。取得自体は必要 - 🗺️対象は30か国
シェンゲン29か国+キプロス。アイルランドとイギリスは対象外 - 🔍公式サイトの見分け方
公式はeuropa.euのサイトと公式アプリだけ。「ETIASビザ」という表記は非公式 - ⏳移行期間と猶予期間の違い
「猶予期間なら自由に入れる」は誤り。猶予期間は必須の期間 - 🛂EESはすでに始まっている
2026年4月10日に全面運用。事前申請は不要で無料
行く前に、これだけは知っておいてください:
ETIASについて、いま準備することは何もありません。申請窓口そのものが開いていないからです。EUは「開始の数か月前に告知する」としており、さらに開始後も最低6か月の移行期間があります。「知らないうちに必須になっていて空港で止められる」ということは制度上ほぼ起こりません。ただしイギリスのETAは別制度で、日本人にはすでに必須です。イギリスに行く・乗り継ぐ予定があるなら、そちらは先に済ませてください。
「いつから」はいつわかるのか
EUの言い方は一貫していて、「開始の数か月前(several months prior)に告知する」です。何月何日に告知する、とも言っていません。
ここで注意してほしいのが、「6か月前に告知される」と書いている記事が非常に多いことです。公式の文言は “several months” であって “six months” ではありません。この2つは違います。日本語記事のほとんどが、どこかで「6か月前」に変換されたものを引き写しています。
「2026年後半」という表記は公式から消えました
以前、EUの公式ページには開始時期として “last quarter of 2026″(2026年の最終四半期) という記載がありました。しかし2026年7月中旬から下旬にかけて、この文言は公式サイトから削除されています。
現在の公式ページに残っているのは「開始の数か月前に告知する」だけです。つまり2026年内に始まるのかどうかも、公式には未確定という状態です。
「2026年10月開始」「2026年末から」と断定している記事は、削除前の古い文言を参照しています。公式が消した以上、その時期を前提に予定を組むのは危険です。
逆に言えば、数か月の猶予は必ずある
「知らないうちに必須になっていて空港で止められる」という事態は、制度上ほぼ起こりません。告知から開始まで数か月あり、さらに開始後も後述の移行期間があるからです。いま慌てて何かを準備する必要はありません。
「ETIAS申請」で出てくるサイトに注意
申請窓口が開いていないのに、検索結果には「ETIAS申請はこちら」というサイトが並びます。EU自身も公式ページで「唯一の公式ETIASサイトは europa.eu/etias である」と繰り返し注意喚起しています。
公式はこの2つだけ
- 公式ウェブサイト:travel-europe.europa.eu(europa.eu ドメイン)
- 公式モバイルアプリ:ETIASの公式アプリ
これ以外に申請できる場所はありません。運用開始後も同じです。
見分け方
| チェック項目 | 公式 | 非公式 |
|---|---|---|
| ドメイン | europa.eu で終わる | etias.com / etias-visa.○○ など |
| 料金 | 20ユーロ | 「手数料込み」で50〜100ユーロ超 |
| 今の受付 | 受け付けていない | 「今すぐ申請」ボタンがある |
| 表記 | travel authorisation(渡航認証) | 「ETIASビザ」と書いていることがある |
「ETIASビザ」という呼び方は公式には存在しません。ETIASはビザではなく渡航認証(travel authorisation)です。この言い回しを使っているサイトは、まず公式ではないと考えてください。
なお、米国のESTA、カナダのeTA、オーストラリアのETAと同じ種類の仕組みです。これらでも「代行サイトが公式の数倍の金額を取る」問題が長く続いています。ETIASでも同じことが起きます。
ETIASとは何か:基本スペック
| 正式名称 | European Travel Information and Authorisation System(欧州渡航情報認証制度) |
|---|---|
| 性質 | ビザではなく渡航認証。米国ESTAに相当 |
| 対象国 | ヨーロッパ30か国 |
| 対象者 | ビザ免除の59の国・地域の国民(日本を含む) |
| 料金 | 20ユーロ |
| 有効期間 | 3年、またはパスポートの有効期限まで(短い方) |
| 滞在可能期間 | 180日間のうち最大90日(短期滞在) |
| 入国回数 | 有効期間中は何度でも |
| 審査時間 | 大半は数分。長くても4日以内に結果。追加資料の要求で最大14日、面談になると最大30日 |
| 生体情報 | ETIASでは収集しません(収集するのはEESの方) |
パスポートと紐づく=作り直したら取り直し
ETIASは申請に使ったパスポートに紐づきます。有効期間が3年残っていても、パスポートを更新したら新しいETIASを取り直す必要があります。
また、国境では申請に使ったのと同じパスポートを提示しなければなりません。別のパスポートで行くと、搭乗を断られるか入国を拒否されます。
「取れたら必ず入れる」ではない
公式には「有効なETIASを持っていても入国が自動的に保証されるわけではない」と明記されています。国境で入国審査官が入国条件を確認し、満たしていなければ入国を拒否されます。ここもESTAと同じです。
いくらかかる?18歳未満と70歳以上は「支払い」だけ免除
料金は20ユーロ。支払いが免除されるのは次の人です。
- 18歳未満
- 70歳以上
- EU国民の家族で、一定の条件を満たす人
⚠️ ここが一番の誤解ポイント
免除されるのは「支払い」だけです。ETIAS自体は取得しなければなりません。「子どもは不要」「70歳以上は不要」と書いている記事がありますが、誤りです。赤ちゃんも0円で申請が必要になります。
なお18歳未満の申請は、親権者または法定後見人が代理で行う決まりです。
対象は30か国。アイルランドは入りません
ETIASが必要になるのは次の30か国です。
【西欧・南欧】フランス/ドイツ/イタリア/スペイン/ポルトガル/オランダ/ベルギー/ルクセンブルク/オーストリア/スイス/リヒテンシュタイン/マルタ/ギリシャ
【北欧】フィンランド/スウェーデン/ノルウェー/デンマーク/アイスランド
【中欧・東欧】チェコ/ポーランド/ハンガリー/スロバキア/スロベニア/クロアチア/ルーマニア/ブルガリア/エストニア/ラトビア/リトアニア
【その他】キプロス
アイルランドは対象外
アイルランドはEU加盟国ですが、シェンゲン圏ではないためETIASの対象に入っていません。アイルランドだけに行くならETIASは不要です(ただし別途、アイルランド独自の入国審査があります)。
またイギリスも対象外です。イギリスには別制度のETAがあります(後述)。
キプロスは滞在日数の数え方が違う
キプロスはETIASの対象国ですが、キプロスでの滞在日数は他の29か国の「90日/180日」とは別枠で計算されます。長期でヨーロッパを回る人は覚えておくと得です。
申請で聞かれること
運用が始まったとき、申請フォームで求められるのは次の情報です。
- 氏名、生年月日、出生地、国籍、自宅住所、両親の名前、メールアドレス、電話番号
- パスポートの情報
- 学歴と現在の職業
- 渡航先と滞在の予定
- 犯罪歴、紛争地域への渡航歴、退去を命じられた経験の有無
ESTAより聞かれる項目が多く、特に「両親の名前」「学歴・職業」は日本人にとって見慣れない項目です。実際に申請するときは事前に確認しておくと詰まりません。
パスポートの条件
- ビザを貼れる有効な旅券であること
- 残存有効期間が3か月未満でないこと
- 発行から10年を超えていないこと
さらに入国時には、ヨーロッパを出国する予定日から3か月以上の残存有効期間が求められます。ETIASの条件と入国の条件は別なので、両方を満たす必要があります。
開始しても「翌日から全員必須」にはならない
ETIASが始まったあと、いきなり全員が必須になるわけではありません。EU公式は2段階で移行すると説明しています。
| 段階 | 期間 | ETIASなしで入れる? |
|---|---|---|
| ① 移行期間 (transitional period) | 最低6か月 | 入れます。ETIASなしでも、他の入国条件を満たしていれば拒否されません(申請は推奨) |
| ② 猶予期間 (grace period) | 最低6か月 | 原則として必須。例外は「移行期間終了後、初めてヨーロッパに来る人」の1回だけ |
| ③ 完全義務化 | 以降ずっと | 入れません |
❌ 「猶予期間中は自由に入れる」は誤りです
猶予期間は「ETIASを持っていなければならない期間」です。例外は、移行期間が終わってから初めてヨーロッパに来る人の、その1回のみ。2回目からは必要です。「猶予」という言葉から「まだ要らない」と読んでしまう人が多いのですが、逆です。
つまりETIAS開始から完全義務化まで、最低でも1年あるということになります。開始日が発表されてから準備を始めても十分間に合います。
EESはすでに始まっています(ETIASと混同しない)
ETIASと必ずセットで語られるのがEES(Entry/Exit System/出入域システム)です。これは完全に別物で、すでに稼働しています。
| ETIAS | EES | |
|---|---|---|
| 状況 | まだ始まっていない | 2026年4月10日に全面運用 |
| 何をする | 渡航前にオンラインで事前申請 | 国境で顔写真と指紋を登録 |
| 事前手続き | 必要(開始後) | 不要。現地で行う |
| 料金 | 20ユーロ | 無料 |
| 対象国 | 30か国(キプロスを含む) | 29か国(キプロスとアイルランドは従来どおりスタンプ) |
| 生体情報 | 取らない | 顔写真・指紋を取る |
EESは2025年10月12日から段階的に導入され、欧州委員会の発表により2026年4月10日に全面運用となりました。すでにパスポートへのスタンプは電子記録に置き換わっています。
いまヨーロッパに行く人が空港で受けるのはEESの登録であって、ETIASではありません。「ヨーロッパの入国が厳しくなった」という話の大半はEESの方です。EESに事前申請はありません。現地で並ぶだけです。
イギリスは別制度(ETA)
イギリスはEUを離脱しているため、ETIASの対象外です。代わりにETA(Electronic Travel Authorisation)という独自の制度があり、こちらはすでに日本人にも必須です。
| 料金 | 20ポンド |
|---|---|
| 有効期間 | 2年、またはパスポートの有効期限まで(短い方) |
| 滞在 | 1回につき最長6か月。期間中は何度でも渡航可 |
| 対象 | イギリス、ジャージー島、ガーンジー島、マン島 |
| 子ども | 赤ちゃんを含め全員必要 |
| 乗り継ぎ | 入国審査を通る乗り継ぎ(landside)は必要 |
ヒースロー乗り継ぎでいったん入国審査を通る行程なら、ETAが要ります。ここは見落としやすいところです。イギリス政府も「他のサイトはもっと高い料金を請求することがあります。政府サービスを装ったサイトを避けてください」と公式に注意喚起しています。ETIASと同じ構図です。
結局、いつ準備を始めればいいのか
実務的な判断としてはこうなります。
- 2026年中のヨーロッパ旅行 → ETIASの準備は不要。EESの登録に時間がかかる前提で、空港には余裕を持って
- 2027年以降の旅行 → 開始日が発表されたら申請する。告知から開始まで数か月あります
- イギリスに行く/乗り継ぐ → 今すぐETAが必要。こちらは先に済ませてください
- パスポートの残りが3年未満 → ETIASはパスポートに紐づくので、先にパスポートを更新した方が結果的に得です
「不安だから今のうちに代行業者に頼んでおく」は、いま最もやってはいけない選択です。受付自体が存在しないので、払った金額に対して何も得られません。
ETIASを待つあいだに、先に済ませておくと楽なこと
ETIASはまだ申請できないので、いま準備できるのは別のところです。とくにEESの登録に時間がかかる前提で、到着後の段取りを先に決めておくと当日の余裕がまったく違います。
📶 通信を1枚で済ませておく
シェンゲン圏は国をまたいで移動することが多く、国境ごとにSIMを差し替えるのは現実的ではありません。複数国で使えるeSIMを出発前に入れておくと、到着した瞬間から地図と乗換案内が使えます。ETIASが始まったあとも、承認状況の確認や航空会社からの連絡は結局ネットにつながっていないと見られません。
🚕 空港からの移動を先に押さえる
EESは顔写真と指紋の登録があるぶん、初回は入国審査の列が読みにくくなります。到着時刻ちょうどの列車やバスを当てにすると、乗り遅れて買い直しになりがちです。時間指定のない空港送迎や、日付だけ決めておける現地ツアーにしておくと、遅れてもそのまま使えます。
保険は、まずいま持っているクレジットカードを確認してください。付帯条件が「自動付帯」か「利用付帯」かで、現地で病院にかかったときの扱いが変わります。カードを持っているのに使えなかった、というのがいちばんもったいないパターンです。→ クレジットカードの海外旅行保険|自動付帯と利用付帯の違い
なおETIASが始まる前に行くなら、申請も20ユーロの手数料も要りません。「開始前に行ってしまう」のは、いちばん手数のかからない選択肢です。
よく見かける誤りのまとめ
❌「2026年後半から必須」
→ 公式サイトからその表記は2026年7月に削除されました。現在は未定です。
❌「開始の6か月前に告知される」
→ 公式の文言は “several months”(数か月)。6か月とは書かれていません。
❌「子どもと高齢者は不要」
→ 免除されるのは支払いだけ。取得は必要です。
❌「猶予期間中はETIASなしで入れる」
→ 猶予期間は必須の期間。例外は初回渡航の1回だけです。
❌「ETIASビザ」
→ ビザではなく渡航認証。この表記を使うサイトは非公式です。
❌「イギリスもETIASの対象」
→ 対象外。イギリスはETAという別制度です。
❌「EESも事前申請が必要」
→ EESに事前申請はありません。国境で登録するだけ・無料です。
よくある質問
公式サイトで最新情報を確認する
この分野は開始日が何度も延期されてきた経緯があり、二次情報の鮮度が落ちやすい領域です。渡航前には必ず公式で確認してください。
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まとめ|ETIASはまだ「待ち」の段階です
ETIASは何度も開始が延期されてきた制度です。そのぶん、古い情報がそのまま残っている記事が大量にあります。
いちばん確実なのは、EUの公式サイトに何が書かれているかを見ることです。
ETIASのポイントまとめ
- 開始日は未発表。EUは「開始の数か月前に告知する」としか言っていない
- 旧表記の「2026年の最終四半期」は公式サイトから削除済み
- 「開始の6か月前に告知」は誤り。公式の文言は「数か月前」
- 料金は20ユーロ。18歳未満と70歳以上は支払いのみ免除で、取得は必要
- 有効期間は3年、またはパスポートの有効期限まで(短いほう)
- 対象はヨーロッパ30か国。アイルランドとイギリスは対象外
- 公式の申請窓口はEUの公式サイトと公式アプリのみ。「ETIASビザ」は非公式の表記
- 開始後は最低6か月の移行期間があり、その間はETIASなしでも入国できる
- 続く猶予期間は「必須の期間」。例外は移行期間終了後の初回渡航1回のみ
- EESは2026年4月10日に全面運用済み。事前申請は不要で、国境で顔写真と指紋を登録する
- イギリスのETAは別制度で、20ポンド・2年有効。赤ちゃんを含め全員必要
いまヨーロッパへ行く人が空港で受けるのはEESの登録であって、ETIASではありません。「ヨーロッパの入国が厳しくなった」という話の大半はEESのほうです。
開始日が発表され次第、この記事も更新します。
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